麻酔科

診療・各部門

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手術は病気を治療するための医療技術の一つですが、身体にメスを入れるとい う侵襲を与えるため痛みとストレスが加わります。ストレスは身体に有害な反応を起こし、病気の治療にも影響することがあります。麻酔は手術時の患者さまの 痛みや不安を取り除き、手術によるストレスを抑制し、手術が安全にスムーズに行なえるようにする必要不可欠な医療技術です。

麻酔科医の役割は手術の痛みをとるだけではなく、手術中に患者さまに起こる異常事態(出血、循環動態の変動など)を常時モニターし、最適な薬剤を使用するなどして異常事態に対応し、手術中の患者さまの全身状態を安全・良好に維持することです。

当院では麻酔科は常勤医1名で診療しています。原則として、外科・整形外科・眼科の局所浸潤麻酔以外の麻酔(全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔)を担当しています。

現在では、医療機器・薬剤・医療技術などの進歩により麻酔の安全性は大 幅に向上していますが、麻酔を含め医療にはある程度の危険が伴います。危険の程度は手術や患者さまの病気・全身状態などによって差がありますが、健康な人 でもまれに生命にかかわるようなことが起こる可能性はあります。

日本麻酔科学会では毎年「麻酔関連偶発症例調査」を実施していますが、 2005年の調査によると、手術における全てが原因の心停止発生率は10000人あたり4.24人、死亡率は10000人あたり4.91人で、麻酔自体が 原因の心停止発生率は10000人あたり0.21人、死亡率は10000人あたり0.07人でした。

日本麻酔科学会は安全な医療を提供するために複数の職種で構成された「周術期管理チーム」を提唱しています。当院では十分な修練を積んだ看護師が術前・術中・術後と切れ目なく看護を行なっており、臨床工学技士も手術業務に加わります。

又、日本麻酔科学会作成の「安全な麻酔のためのモニター指針」では、最初の項目に「現場に麻酔を担当する医師が居て、絶え間なく看視すること」が定められていますが、当院では新日鐵八幡記念病院や産業医科大学病院に応援をお願いし、極力この指針に従うようにしています。

 
麻酔科部長   野口 貴志 麻酔科認定指導医